　私の住む静岡は、海あり山ありのとても良い所。３０分もあれば海にも山にも行く事ができます。冬は雪が全く降らないし、とても住みやすい町です。そんな温室で暮らしているような私が憧れるのは、過酷な環境の中で可憐な花を咲かせる高山植物たち。雪に閉ざされじっと耐えたのち、喜びと共に一斉に開花する花々の清らかさ。思わず抱きしめたくなるような愛おしさを感じます。
　富士山や南アルプスなど、静岡にも標高２０００メートルを超える山がありますが、アプローチが大変長く、体力のない私ではなかなか思うようになりません。そんな体力不足、運動不足の私を暖かく迎えてくれるのが信州の山々なのです。冬はスキーヤーで賑わう信州の山には、ゴンドラやリフトがたくさんあって、私のような者でも容易に２０００メートルの山に立つ事ができます。

露の重さに耐えきれず、唐松の新芽に寄りかかるフウロソウ。新芽の時期、唐松の林はまるで緑の霧が一面にかかったようで幻想的です。（北八ヶ岳麦草峠）

コバイケイソウ：クボタフィロマンドリーネンの小品集ＣＤ「スプレーン」のジャケットに使っていただきました。花ひとつは１センチにも満たない可憐なものです。

コマクサ：高山植物の女王と言われるコマクサは孤高の花。他の植物との共存はできません。森林限界を超えた高山のガレ場に這いつくばるように生きています。